
「超力戦隊オーレンジャー」より引用©東映、テレビ朝日
売上は歴代1位ながら賛否両論な戦隊
つい先日までYouTubeで配信されていた超力戦隊オーレンジャーは戦隊シリーズ19作品目にして、オーレンジャーがなんと軍属というかなり昭和作品を意識してシリーズ20年目を節目に原点回帰を図ったような作品でありながらも1話では変身するのがオーレッドのみで、敵勢力バラノイアの戦闘員バーロ兵と怪人にあたるマシン獣をたった一人で倒してしまいます
当初はややコミカルな雰囲気のあった前作「忍者戦隊カクレンジャー」と差別化するように、バーロ兵は戦闘員ながらも非常に強く言葉を発することのないマシン獣が淡々と破壊活動を行うなどハードでシリアスな作風を生み出してきました
しかしワンクールを過ぎる頃には「阪神淡路大震災」と「地下鉄サリン事件」により世相を反映したのかハード路線は鳴りを潜め、マシン獣も言葉を発してコミカルな作戦を行うようになるなど従来の戦隊シリーズに回帰するような流れに戻りました
似たようなパターンは「東日本大震災」の影響をモロに受けた「海賊戦隊ゴーカイジャー」があります
このように作風のブレや、3クール半ば辺りから前触れもなく次々投入される巨大ロボ等の影響もあり、オタク層の特撮ファンからは評価が低いものの児童層からの評判はよく、総売上は歴代でも未だに破られることがない151億円を叩き出すなど商業的には大成功を収めた両極端な作品です
まぁ、オーレンジャーでググると後ろに「水着」と付くことが多いのは井上脚本の23話「最後の水着」の影響でしょうか?あれもなかなかぶっ飛んだエピソードでしたがw
戦隊メンバーより個性溢れる敵キャラ
本作はオーレンジャーの面々より敵方のバラノイアのキャラが立ってしまっているのも本作の特徴です
バラノイア皇帝のバッカスフンドは容赦のない独裁者といった感じで自分の方針に従わなければ配下のマシン獣を粛清するといった冷酷な面が強調される反面、グラビア雑誌に鼻を伸ばしたり妻のヒステリアには頭が下がらないなどコミカルな様子が散見されますが、オーレンジャーに破れた後は息子のブルドントにエネルギーを与えて死亡するなどその威厳は終始崩れることはなく強大な存在感を出していました。
また、バッカスフンド敗北後に現れたボンバーザ・グレートはかつて反逆をもくろみ処刑寸前に逃亡を果たした荒くれ者でリアルタイム視聴時はかなり強烈なマシン獣として印象深かったんですが、意外とその登場期間は6話程度と短く、壮絶な死に様からインパクトがあったキャラだと思います
皇帝一家執事のアチャとコチャは恒例の巨大化担当キャラでコミカルな印象が強いながらもバッカスフンド退場後はブルドントを裏切ってボンバーザ・グレートにつき、カイザーブルドントが帰還した際はちゃっかり元の鞘に収まりながら最終決戦後も生存し、ガンマジンらと旅立つといった憎めないキャラでした
以上が主に印象に残ったバラノイアのメンバーですが、彼らの他にバラリベンジャーやバラペテンなど一般マシン獣に至っても強烈な面々が多く、味方側の三浦参謀長に負けないくらいの個性的なキャラクターを誇っていたと想います
魅力的なキャスト陣
やはり本作の出演者で外すことが出来ない方と言えば三浦参謀長の宮内洋氏でしょう。
オーレンジャー達のまとめ役でありながら時には前線でメンバーをサポートし、時にはコミカルな様子も見せるかなり前線にも出てくる頼れる司令官としてオーレンジャーの5人よりも目立っていました
現在なら間違いなく彼も途中から変身能力を得ていたでしょうね
オーブルーを好演した合田雅吏氏はブレイクし水戸黄門や時代劇等で活躍しています
あと、やはりオーピンク役のさとう珠緒氏は当時から美人で約15年後のゴーカイジャーに出演した際も美貌は衰えていませんでした
声優陣も太平透氏や神谷明氏、肝付兼太氏や松島みのり氏などのレジェンドクラスに加えて、今は大御所として知られる実力派声優・関智一氏も控えているなどゲストも含めて隙のない布陣となっております
個人的な評価
オーレンジャーと言えば筆者的にまず取り上げたいのはオーレンジャーロボのデザインの良さです
スフィンクスを胸の意匠に据え、各所に金色を配置したデザインは高級感と気品すら感じられ必殺剣のクラウンソードは鍔に王冠の意匠をあしらっているなどまさに古代文明をモチーフにしたオーレンジャーの象徴として相応しく、歴代戦隊ロボの中でももっとも美しいメカニックだと思います
十年くらい前に玩具の未開封品を手に入れて手に取った際はあまりの美しさに圧倒されてしまいました
オーブロッカーも嫌いじゃないんですが、デザインは圧倒的にオーブロッカーロボのほうが好みです
さて、作品自体の評価なんですが結論から申し上げますとやはり中途半端な印象は否めませんでした
というのも90年代の戦隊は「ファイブマン」から「ゴーゴーファイブ」までどの作品も個性的かつ挑戦的な作風はいずれも現代の戦隊シリーズにおける礎を築いた名作ばかりですが、本作はそれらと比べると路線変更の影響もあってか前後作の「カクレンジャー」や「カーレンジャー」と比べてもいまいち弾け切っていない感はどうしても付きまとう評価になってしまいます
しかしながらバッカスフンド退場からのバラノイア側のドラマは目を見張るものがあり、オーレンジャー陣営よりも濃密に描かれたこともあって後半の見応えのある流れを呼び込めたのは大きいと思います
更に個々のエピソードも「友よ 熱く眠れ!!」や「学校の怖い悪夢」など異色かつ心に残るものがあり一概にいまいちと切り捨てることができないのも本作の特徴だと思います